2009.11.06
形状記憶合金が排ガス熱をエネルギーに変換 回収された熱を、ハイブリッド車のバッテリー充電やオルタネーター代わりに利用できる可能性
• 米エネルギー省から至急された270万ドルで、GMがパートナー企業と共同で試作品を製作
• 商品化を早める共同研究開発の最新の模範例
ミシガン州ウォレン ― 車のエンジン排気から出た熱が回収され、車内のステレオや電動シート、エアコンを動かすことのできる機械エネルギーへと変換される。この実現の日が訪れつつある。
米ゼネラルモーターズの研究開発部門は、形状記憶合金(SMA)を使用し、自動車の排ガス熱から電気を発生させることのできる試作装置を製作するための資金として、米政府から助成金270万ドルを授与された。
GM車両開発研究所のJan Aase所長は、「形状記憶合金ワイヤーは、伸ばされた状態で熱を加えられると、伸ばされる前の長さに縮まろうとし、温度が下がって冷えると、柔らかくなり、元の形状に戻る。この形状記憶合金ワイヤーのループを使って、発電装置を動かし、バッテリーを充電することができると考えられる」と述べた。
今の段階では、このテクノロジーがどの車両で実現可能かを確定することは時期尚早だが、ハイブリッド車または従来型燃料車への適用が可能と見られている。
Aase所長は、「我々の知る限り、世界でこの開発に取り組んでいる者は我々以外にはいない。ハイブリッドシステムの場合は、この電気エネルギーをバッテリーの充電に使用することができるし、従来型エンジンの場合は、エンジンに負荷をかけることなくオルタネーターの代わりとして使用することができると考えられる」と話した。
米エネルギー省の先進研究計画局(ARPA-E)から授与されたこの助成金は、米エネルギー省が拠出した1億5100万ドルの資金のうち、唯一、自動車メーカーに支払われた助成金である。GMと共同して開発にあたるのは、HRLラボラトリーズ社(HRL Laboratories)、ダイナロイ社(Dynalloy, Inc.:アクチュエーター用形状記憶合金メーカー/所在地はカリフォルニア州タスチン)、およびミシガン大学のスマート材料共同研究所(Smart Materials Collaborative Research Lab)だ。
GMのグローバル研究開発を担当するAlan Taub副社長は、「この助成金は、エネルギーの効率性向上に大きく寄与するであろうし、GMがいかに他社との共同・協力関係を通してビジネスを行っているかの象徴でもあるため、重要な意味を持つ」と述べている。
また、「自分達だけでこの種の画期的なプロジェクトに取り組もうという時代は終わった。我々は、どうすれば我々が持っている豊富な技術的知識を、他者の持つ能力と融合させ、彼らの協力を得て、我々のコンセプトを商品化につなげていけるのかを、常に模索していかなくてはならない」とも語った。
Aase所長によると、形状記憶合金熱エンジンという概念は「30年も前から存在している」概念ではあるが、これまでに製作された数少ない装置は、いずれも大きすぎたり非効率的であったりして、実用化には値しなかった。
今もなお、このテクノロジーは非常に初期の段階にあるが、今後2年間のうちに、GMとパートナーらは実用レベルの試作品を製作する計画である。
Aase所長は、「我々は、形状記憶合金に関して長年協力し合ってきた方々とのネットワークを大いに活用し、ハイリスク、ハイリターンのこのプロジェクトの成功に向けて、斬新なアプローチをとっていく」と話している。
以上